心房細動について
心房細動とは
心房細動とは、心房全体が小刻みに震え、心房の正しい収縮と拡張ができなくなり、不規則な脈となる不整脈で、発作的に起こる場合(発作性心房細動)と持続している場合(永続性心房細動)があります。加齢とともに増加し、80歳代の10%程度の割合で持っている比較的よく見られる不整脈です。加齢のほかに高血圧などの生活習慣病、虚血性心疾患や心筋症など心臓の器質的疾患、飲酒、喫煙、過労、ストレス、睡眠不足なども原因であるといわれています。脳梗塞が起こり易く、最近の新しい経口抗凝固薬の開発もあり、とくに注目されています。動悸、胸部不快を自覚することもありますが、検診でたまたま見つかることも多くあります。
心房細動の治療 - 抗凝固療法
心房細動の治療としては、まず第一に脳梗塞を予防することが大切で、脳梗塞合併リスク(心不全、高血圧、年齢、糖尿病、脳梗塞の既往)を評価して、リスクが高ければ抗凝固療法(心臓の中で血栓を作らないように行われる療法)を行います。発作性も永続性も同等に脳梗塞のリスクがあるといわれています。従来からの抗凝固療薬であるワーファリンに加えて、新しい経口抗凝固薬も検討されます。
心房細動の治療 - レートコントロールとリズムコントロール
心房細動の治療にはレートコントロール(rate control)とリズムコントロール(rhythm control)の2つの大きな治療方針があり、年齢や自覚症状など様々な要素を考慮して選択されます。レートコントロールとは、リズムは心房細動のままで、薬剤で心拍数が速くなりすぎないようにコントロールし、自覚症状を軽減する治療法です。リズムコントロールとは、心房細動を停止させて正常の脈(洞調律)を維持する、すなわちリズムそのものをコントロールする治療法です。洞調律を維持するには、抗不整脈薬の内服やカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)による根治療法が検討されます。